藤井風、「花」の魅力をコード進行から掘り下げ
藤井風さんの楽曲「花」
そのイントロやコード進行の美しさに心を奪われた方も多いのではないでしょうか?
今回は、この「花」の音楽的な特徴を、コードの視点から少しだけマニアックに観察してみました。
3分ほどで読める内容ですので、よろしければどうぞ最後までお付き合いください。
藤井風、花・イントロの印象
― レトロでオシャレな導入
曲が始まった瞬間、どこか懐かしい洋楽のような雰囲気を感じませんか?
イントロのピアノは、低い音域でリズムを刻んでおり、レトロなのに新しくて、どこか「カッコかわいい」印象です。
さらに、シンコペーション(リズムのズレを活かした奏法)が使われていて、自然と身体が揺れるような、心地よいグルーヴ感が生まれています。イントロだけで、藤井風さんらしい世界にぐっと引き込まれますね。
藤井風、花・コード進行の妙
― シンプルなのに洗練された響き
「花」のキーはE♭(ホ長調)で、イントロから基本的にはシンプルな循環コードが使われています。
このコード進行はとても一般的で、いろいろな楽曲でもよく使われています。でも、藤井風さんの「花」では、なぜかすごくおしゃれに聴こえるんですよね。その秘密は、テンション(コードに付加する装飾音)やオンコード(ベース音を変えたコードの形)を使っているからだと思います。
シンプルなコードだけを弾いたときと、実際の演奏を比べると、その違いがよくわかりますよ。
藤井風、花・サビの変化と切なさ
― 転調と代理コードの魔法
サビ部分も、前半は同じく循環コードで始まりますが、中盤でガラッと雰囲気が変わります。
このコード進行は、いわゆる「Ⅱ→Ⅴ→Ⅰ」の形ですが、♭5や♭9といった音を加えることで、より切なく、少し影のある響きになります。しかも、この3小節間だけ、キーがE♭からC(ハ短調)へと転調しているんです。長調から短調への変化が、いっそう哀しみを引き立てているんですね。
さらに、サビの11小節目には代理コードが使われています。これがまた絶妙にオシャレなんです。藤井風さんの楽曲には、こうした代理コードの使い方がたびたび登場します。
最後のコードはⅠではなくⅥ(C7)で締めくくられており、そのままスムーズに次のコードへと進める設計になっています。こうしたコードの繋がり方に、音楽的なセンスの高さを感じます。
藤井風、花・間奏の変化
― 新たな色を加えるコード使い
間奏に入ると、また新たな世界が広がります。イントロやサビでは登場しなかったコード、たとえばD♭M7(9)が現れ、一気に雰囲気が変化します。
右手はイントロと似たようなフレーズを奏でていますが、コードは違います。イントロの1小節目がFm7だったのに対し、間奏の1小節目はD♭M7(9)。
実はこの2つ、ベース音だけを3度下げると、他の音はほとんど共通しているんです。そうした細やかな設計が、曲全体のまとまりを生み出しているのですね。
この間奏部分でもキーはハ短調になっていて、少し暗く、まるで暗闇をさまよっているような不思議な感覚を覚えます。ちょっと違った空気が入ることで、曲全体にメリハリがついて、引き締まった印象になります。
藤井風、花・エンディング
― 静かに消えていく美しさ
最後のサビが終わると、ピアノのアルペジオが静かに響きます。どこか寂しげで、でも温かい音色。コードをただ順番に弾いているのではなく、まるで一つひとつの音が次の音へ語りかけているような、自然な流れが感じられます。
そしてエンディング。徐々に音が減っていき、ベースラインすら消えて、ふっと音楽が終わります。その終わり方がまた印象的で、余韻が心に残ります。どこかで聴いた懐かしい曲を思い出すような、そんな終わり方です。
今回は、藤井風の「花」について、コード進行を中心に私なりの視点で語ってみました。
どこか懐かしく、そして新しい。歌詞やメロディの美しさもさることながら、コードの工夫がこの曲にさらなる魅力を与えているのだと思います。
今回も最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
また別の記事でも、藤井風さんの楽曲についてお話できたら嬉しいです♪
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